世界の果ての赤き丘

二次小説、日々の地球人観察記などを書いています。
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Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 短編02

「なぁアーチャー君」


「なんだ?」


「この縄は何かな?」


「ふ、貴様の胸に手を当ててよく考えてみれば分かるさ」


言われたとおりに鎧衣は自分の胸に手を当てて考えた。


「あぁ、私の胸よ。この縄は何なんだろうか、答えておくれ……ふむ、わからん。私が何をしたんだ?」


「ほぉ、貴様しらを切るきか?」


鎧衣のふざけた態度に、アーチャーは剣を投影して鎧衣の首筋に添えるという答えを返す。


恐怖心を煽るために少々の切り傷をつける事を忘れない。


「……すまない。正直こんな事態になるとは思ってなかった」


タラリと首筋から流れる血の感覚に、流石の鎧衣もアーチャーの本気を感じ取り、口を割る。


「まったく。貴様のその技能はそもそも他の事に使うためだろ。こんなくだらない事に使うなどどうかしてるぞ」


アーチャーと鎧衣の目の前に広がる光景。




エッチな本と嫉妬




鼻から血を流しながらその巨体を悶えさせている紅蓮を筆頭に、高位の男性衛士達も鼻血を出し失神していた。

騒ぎの中心には一冊の雑誌らしき本が…

そんな中、女性衛士達は月詠 真那を中心に血眼になって、雄叫びを上げ、走り回っていた。


「探せ!探せ!1冊残らず探せ!所持していた者はすべて縛り上げろ!抵抗するなら半殺しも構わん!火器の使用も許可する。場合にっては戦術機も使え!」


「「「「了解」」」」


次々と捕まる衛士。全員、青痣ができるぐらいに殴られている。

中には腫れあがり醜くなった顔を歪ませ男泣きする輩もいた。


「流石にこれは……鎧衣、一体何冊配布した?」


阿鼻叫喚な地獄絵図に、アーチャーの額からヒヤリと汗が伝う。爆発音が聞こえるのは気のせいだと思いたい。


「うむ、1冊五千円で100冊、レアを1冊一万で10冊で合計110冊だな。ちなみに裏取引だったが10分で完売した」


自信満々に答える鎧衣。どこか誇らしげに胸をそらしているのは気のせいだろうか……


そんな二人のやり取りの間にも広間には続々と衛士たちが連れてこられていく。


「よし、これで全部か!」


「はい、情報どおり110冊すべて揃ってます」


月詠の目の前に積み上げられた雑誌らしき本。


表紙には「帝国斯衛軍 大胆写真集!」と書かれてある。もう一冊、他の物と違い豪華な装飾してあるのにはこう書いてあった。


「帝国斯衛軍 読者が選ぶベスト10 袋とじにはお風呂シーン付」


表紙の写真は盗撮とは思えないほど鮮明なシャワーを浴びている月詠真那の後姿である。


そしてそのどちらにも監修 鎧衣左近 と表記してあった。


「さて、鎧衣。覚悟は出来ているか?」


足跡を立てず床を滑るように近づいてくる月詠。

その姿はまさに修羅。

武人の呼吸にかわり、僅かに揺れる体。溢れ出る殺気は本物だった。


「月詠中尉、落ち着きなさい。私はだね、潤いが足りない男性衛士諸君に一筋の光をだな……」


その姿に内心ビビリながら、表では冷静を装って言い訳を唱える鎧衣。


「黙れ…八つ裂きにして殺すぞ」


地の底からの怨嗟が篭った低い声が月詠の口から漏れる


「……」


その声にシーンと静まりかえる大広間。

痛てー、くそーと呻いていた男性衛士達は死んだように動かなくなった。自分に矛先が向かないようにするためだ。

というより何か音を立てれば殺されそうなぐらいな雰囲気だったからとも言える。


「うっほん、あー月詠」


その凍りついた場を壊すように、アーチャーは咳払いをして月詠の説得を試みる。


「……なんでしょうか?」


ギリギリと首を捻じ曲げ、アーチャーへ視線を移す。

その顔は普段の端麗な面持ちからかけ離れて、真っ赤な顔に憤怒の表情だ。


「す、少し落ち着け。こいつは私が責任を持って処分をするから。なんならBETAの群れの中に放置してやってもかまわんし、戦術機の射撃演習場に放置してもかまわん」


「それは酷すぎじゃないかねアーチャー君」


ちょっと震える声で鎧衣が呟く。

それを無視してアーチャーは鎧衣を縛っているロープを握ると、さらに締め付けながら月詠の説得を試みる。


「まぁ、こいつがしたことは許されざる事だが、一応こんな奴でも使えるから、殺すのは後にしてくれないか?」


「アーチャー殿、この事には口を挟まないでいただきたい。これは帝国斯衛軍の問題です」


即答で切り返す月詠。聞く耳を持たないと言うのはまさにこの状態なのだろう。


「しかし、このままでは明日の演習に響くぞ。衛士たる者、万全の体制整えるべきなのだろう?」


「分かりました。では……」


「今殺します」


月詠は袖から隠し持っていた暗器を取り出すと、一直線に鎧衣に向かって閃光のごとく走る。

迫る月詠に鎧衣があわてて叫んだ。


「ちょ、ちょっと待った!交換条件だ」


と、首筋まであと1cmの所で刃が止まる。


「くだらない事を言ったら殺します。くだらない事を言わなくても殺します」


「ふっ、甘いな真耶ちゃんは。私が何の対策もしてないと思うのかい?」


ユラユラ揺れる刃先から首筋をそーと離しながらニヤリと鎧が笑う。


「何っ!?」


「これを見よ!」


そういうといつの間にか硬く縛られていたロープから鎧衣は抜け出し、帽子を抑えつつ空中で華麗に一回転。

無駄に身体能力が高いところを見せ付けつつ、大仰に一枚の写真を懐から取り出し頭上にババーン掲げた。


「そ、それは!」


「き、貴様!」


そこに写っていたのは月明かりの下、硬く抱き合う月詠とアーチャーの姿だった。

これも盗撮とは思えない鮮明さで、プロが撮ったと言えば納得できるほどの見事な写真だ。


「おい、あれって…」


「まさか…」


「アーチャーの野郎…殺す!」


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね…アーチャーは死ねぇぇぇぇぇ!」


「月詠様…」


「不潔です」


その場にいた全員がざわざわと騒ぎ出した。抱き合う男女から想像できる物はたった一つ。頭によぎるのは『恋人』の二文字。

突然の出来事に、衛士達は驚いてしまい頭の中からは、盗撮の件は頭の隅に追いやってしまう。

当の本人達である月詠は顔を真っ赤にしてあぅあぅ言いながら俯き、普段は冷静なアーチャーもこの時ばかりは固まってしまった。


「では、私はこれで」


固まった二人を尻目にそう言うと鎧衣左近は気配を消しながら逃走。腐っても情報部エース。仕事は完璧。

すべては計画通りという事だ。

その後、帝国斯衛軍内に月詠とアーチャーは恋人という噂が蔓延していった。



次の日


「アーチャー、弁明はありますか」


悠陽の右手には例の写真。左手には太刀が握られ、極上の笑顔と背後にはわけの分からないオーラ。


「落ち着け悠陽!誤解だそれは!鎧衣の策謀だ!」


「そうです殿下。落ち着いてください!ま、まずはその刀を此方にお渡してください!」


「まぁ、仲良く弁明ですか? ウフッ、フフフフフフフ……」


翌日の悠陽の執務室から聞こえてきた争う声に、侍従長はまた頭を痛めていた。
     


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[ 2013年10月16日 15:16 ] カテゴリ:Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 | TB(0) | CM(0)
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地球外生命体タモちゃん

Author:地球外生命体タモちゃん
惑星タモタモから来た調査員

趣味 読書、昼寝、料理
好食 梅干おにぎり
嫌食 刺身(生もの全般)

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