世界の果ての赤き丘

二次小説、日々の地球人観察記などを書いています。
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Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 04

何百というライトに照らし出された光景にアーチャーは内心驚愕した。

事前に情報として紅蓮から聞いてはいたが、この世界の科学技術は自分の中では異常と言っていいほど進んでいたのだから。





Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 第4話





足が止まったアーチャーへ月詠が振り返り尋ねる。


「どうしましたか?」


少し不審げにこちらを見る月詠にアーチャーはハッとすると冷静を装う。


「いや、なんでもない。少々ライトに目が眩んだだけだ。
 それにしてもすごい光景だなこれは……」


アーチャーの目の前に広がるのは、巨大な倉庫に収まる二百機はあるだろうと思われる人型の機械。

紅蓮の話に出てきた戦術機というこの世界では既に当たり前の兵器だそうだ。

しかし、アーチャーにとっては当たり前どころか驚愕の一言しかでてこない。

長年戦場を渡り歩いてきたため、ある程度の機械兵器の構造は知っている。それどころか解析して簡単な修理さえした事があった。

だが、今目の前にある兵器は自分の知識の中では見た事もない人型のロボットだ。完全に自分の中の知識の上をいっている。

戦場を渡り歩いているとき技術者からチラリと聞いたが、人型兵器は自重の何倍をも支えることが出来る事と素早い動きができる足がなくては兵器にならないと言っていた。

つまりこの世界では最低でもそれだけの技術があるという事だ。

魔術が発達しなかったため、急激に科学技術が進んだという可能性もあるのだろうかと思った。


「アーチャー殿?」


「……近くで見てもいいだろうか?」


いつの間にかポロリと自分の口から零れた言葉に驚く。

自分の中に子供のような好奇心が残っていた事にだ。


「え? あ、ここにある戦術機は明星作戦に出撃するものなので、近くでお見せする事は出来ません。
 現在は整備中なので申し訳ない」


「いや、こちらこそ唐突に変なことを言ってすまないな。次に行こうか」


「あの、練習機ならあちらにありますけど」


そう言って月詠が指差す方には演習場と書かれたドアがあった。





紅蓮は書類を書くキーを打つのをいつの間にか止め、一人考え事をしていた。

脳裏に描くのはアーチャーと名乗る男。

少なくともこの地位に就くまで、自分はそれなりの修羅場を潜り抜けてきたと紅蓮は思っている。

しかし、その中で培ってきたものを覆すあの男はなんなのだろうか。

あの男が話した荒唐無稽な話の数々。余裕で自分を倒す戦闘力に、反則とも言える技術、いや魔術という力を持っている。

話だけなら何を馬鹿なと一笑するだろう。

だが、あっさりとあの男はあり得ない現象を行使した。

紅蓮は種無し手品を見せられた気分だ。どうやったら目の前で人が消えると言うのだ。

間違いなくあの力は本物だった。


「危険なのかもしれん……少なくとも現時点であの男の力は未知数。あれ以上の力を使えるのなら戦術機で殲滅など不可能だな」


ポツリと自分の執務室に独り言が木霊する。

静まりかえる部屋で紅蓮は悩み続けた。






「なるほど……」


撃震とかいう戦術機の足元でアーチャーは納得した。

簡単に解析しただけだが、骨格フレームは自分が知らない未知の素材で出来ており、各関節部には衝撃を吸収するらしい機構が見受けられる。

外装部分も何十にも施されてて、中には未知の素材もあった。

これだけの大きな機械を動かすのだから、中枢部はどうなっているかと思えば意外に小型化されていた。

つまり情報処理能力も高いと言うことだろう。


「まったく、とんでもない世界だな」


そう呟きながらアーチャー頭を掻く。

一体一体が並みのサーヴァントと同等ぐらいの火力なのだ。

と言っても戦闘になれば的が小さいサーヴァントの方が圧倒的な速度で動けるのだから、純粋な1対1戦闘を行えばサーヴァントが強いと言える。

しかし、数が数だ。集団戦闘になればあのセイバーでさえ太刀打ちは難しいだろう。宝具を使ったとしても回数制限がある。


「BETAとやらはそれ以上に強いという事か圧倒的に数が多いという事か。
 滅びに向かっているというのもこれで納得できるな。こんな兵器を開発しても、いまだに勝利できないのだから。
 しかし、世界という形を保っているのに世界から干渉がない、守護者が現れないというのはいったい……」


そんなブツブツ呟くアーチャーの後ろ姿を月詠は不思議そうに眺めている。

帝国内では現在は撃震より、実践配備が進んでいる第三世代主力戦術機不知火の方が圧倒的に強いと言われている。

もちろん撃震が弱いと言うわけではないのだがスペック差が大きいのだ。

そんな旧式の機体を撫でながら感心されても、と月詠は思った。

大体彼は情報部出身のはずだ。自分が知らない最新鋭の戦術機を知っていもおかしくないはずなのに……


「あの、良かったら搭乗してみますか?
 戦術気乗りが同伴すれば許可が出ますが?」


「いや、遠慮しておこう。私は造る者で操る者ではないからな」


「造る者?技術者でもしていたんですか?」


「技術者じゃない。私は贋作者だよ。
 さて、とりあえず理解した。次は資料室か簡単に情報を調べれる場所に案内してくれ。調べ物があるから場所を知っておかなかなくては」


誤魔化すように話題を変え、さっさっと歩き出すアーチャーを月詠は分からないといった表情をしながら追いかける。






「香月博士、A-01部隊すべて準備完了。各ポイントで待機しているとの事です」


「ありがとうピアティフ。作戦と同時に各指揮官の指示に従えと伝えて」


「はい」


スクリーンに映る光点の位置を確認しながら白衣の女、香月夕呼は指示を出す。

その指示を横で補佐をするイリーナ・ピアティフが各小隊に連絡をしていった。


「香月博士、米軍から通信来ました。予定通り明後日、夜明けと共に進軍開始。各自所定の位置より作戦通りに進軍せよとの事です」


「帝国軍は?」


「明日には配備完了だそうです」


「ぎりぎりまで粘るわね。まぁ、しょうがないけどね」


ため息を吐きながら夕呼は頭を軽く掻いた。

国連軍主導、いや実質は米軍主導の下の今回の作戦に、帝国軍側は参加表明をしているとはいえ、反発からの渋りは苛烈だ。

もともと仲が悪い事もあるが、自分達の国にG弾という大量破壊兵器を使うのだから仕方がない。

だが、それで作戦に不都合が出来て損害が大きくなっては意味がない。

自分が立てた計画の一部なのだ。一度しかないチャンスを意固地なプライドで失敗されたら堪ったものではない。

もう一度、夕呼は大きくため息をつく。


「お疲れのようですね香月博士」


「ラダビノッド司令……」


「仕方がないですよ今回の事は。アメリカもごり押しで計画に介入してくるほど焦っているんです。双方に軋轢が生まれないほうがおかしい」


「分かってはいるんですけどね。学者な私には馬鹿な縄張り争いにしか見えません。このままでは、未来の縄張りなんてあそこにいるBETA共がぶんどるんですから」


「確かに。けれど人間は一筋縄ではいかない生き物です。そう易々とプライドは捨てれないですよ」


「……分かってます」


小さく答えながら、3度目のため息を夕呼は吐いた。





「大体の場所は案内しましたけど、他に行きたい場所はありますか?」


月詠の案内で、一部は建物の用途を教えてもらうだけに留めてアーチャーは時間を短縮した。今は時間が惜しい。

最初は、いくつかの外部へ出るルートを無意識に構築していたが、考えてみれば自分は姿を消せるという強みがあったと思い出し建物の用途の説明だけを聞いて後で確認だけいすればいい。

敷地面積、遮蔽物の有無、情報が集まる場所、万が一の為の悠陽の寝所を中心とした狙撃ポイント構築、一番高い建物、方位などを重点的に確認しておく。

あとは時間がある時にでも確認しておけば、この世界で特に脅威になるような事はないだろう。

となると次はこの世界の情勢などの情報が必要になる。

多少は紅蓮に聞いたが、今度は詳細に知る必要がある。情報部と名乗っているので、事情を知らない月詠には聞けない。

先ほど案内された資料室で探せばいいのだが、自分の存在が知れ渡ってない現状でそういう事は出来ない。

紅蓮の元へ戻って聞くのがベストだろう。


「いや、十分だ。大体は把握した。後は自分で歩いて把握する」


「そうですか。それでは私は明星作戦の準備があるのでこれで失礼します」


「分かった。私は紅蓮の元へ戻る。案内ありがとう月詠少尉」


にっこりと笑いかけながらアーチャーが手を差し出す。

お礼の握手というやつだ。

海外経験で身についた社交辞令の一つで無意識の行動だった。


「い、いえ、こちらこそ失礼な真似をして申し訳ありませんでした」


そう言いながらおっかなびっくりといった感じで月詠はアーチャーの無骨な手を握った。


「いや、助かったよ。感謝する。それではな」

    
一度キュと月詠の手を握り返して手を離し、紅蓮の部屋へ足を向ける。


「あ……」


「ん? どうした?」


「い、いえ。それではまたどこかで」


もう少し貴方の温かさを感じたかったなどと口が裂けても言えない。というかそんなロマンチック思考が浮かび上がったこと自体が恥ずかしい。

自分でも分かるほど真っ赤になった顔を伏せ気味に、月詠はアーチャーに敬礼をした。


「フ……」


そのあたふた様子にちょっと笑いながら、アーチャーは月詠の頭に手を置いて言う。


「またな。月詠少尉」


さらりと撫でるとアーチャーは紅蓮の元へ戻っていった。





かちゃりと電話の受話器を紅蓮は置く。

相手は鎧衣だ。

内容はアーチャーと名乗る者について。

明星作戦前に情報部を動かすのは気が引けたが、それでも自分の勘があの男は注意しろと告げている。

だから、もう一度あの男について綿密な調査を鎧衣主導の下行わせた。鎧衣ならすぐにそのぐらいの情報なら集めれる能力があるからだ。

あの男の目撃情報からロンドンについての再調査。また世界中の超常現象の目撃証言の再確認や話に出てきた町の名前、偽名からの調査など。

が、結果はいずれも不明。

なんの情報も出てこなかった。


「手詰まりだな……」


「何がだ?」


「うお!?」


突然声をかけられて驚く紅蓮。自分しかいない執務室で、それも気配がない状態で声をかけられたのだ。

いくら紅蓮が優れた武人だとしても驚くなというのは無理な話だ。

振り向くとアーチャーが腕を組んで立っていた。


「……今度からは扉から入って来い。貴様は礼儀をしらんのか?」


「それは失礼した。だが、一般職員に私の存在が浸透してなかったから、お前の部屋に堂々と来るのが難しくてな。今回は許してくれ」


「むぅ、仕方がない。明日には全員に通達しておく。今回だけは特別だぞ」


「すまんな。で、何が手詰まりなのだ?」


分かってますよといった顔をしながら聞いてくるアーチャーに、紅蓮のコメカミが引き攣る。


「くそっ、子供じみたいびり方だな貴様は。
 ……お前の再調査だ。理由は言わんでも察しろ」


「当然の行為だな。逆にそういう事をしなかったら貴様の程度が知れているところだった」


「いちいち貴様は嫌味を言うのだな。私がそんなに気に入らんのか?」


そう返す紅蓮の発言にアーチャーは目を丸くし、心底驚いたという顔をしながらポツリとこぼす。


「……褒めたのだが伝わってなかったか?」


「伝わるか馬鹿者!」


そうして、なんだかんだと言い合いながら、アーチャーはこの世界の現状を事細かに改めて紅蓮に尋ねていく。

そのおかげで紅蓮は溜まった報告書を一晩かけて読まなくてはいけなくなり、翌日珍しく疲れた様子の紅蓮に書記官が目を丸くしたのだった。


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あとがき


次回明星作戦へ。

なんか前回と同じような内容になりましたが、戦術機とはなにか?などの説明してなかったなと思って、この話を挟みました。
じゃないと戦力がよく分からないですからね。
サーヴァントの強さは、きのこ先生の発言『戦闘機ぐらいの強さ』を元に、実際にはこうなるだろうと予想してみた。
例えセイバーと戦術機が戦ったとしても、魔力は無限じゃないから最後は物量が勝つだろうと予測。
という感じで進めさせてもらいます。
と言っても、多少はご都合主義を入れないといけませんがね。
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[ 2013年10月16日 15:07 ] カテゴリ:Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 | TB(0) | CM(0)
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地球外生命体タモちゃん

Author:地球外生命体タモちゃん
惑星タモタモから来た調査員

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