世界の果ての赤き丘

二次小説、日々の地球人観察記などを書いています。
世界の果ての赤き丘 TOP  >  スポンサー広告 >  Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 >  Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 03

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --年--月--日 --:-- ] カテゴリ:スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 03

召喚されて二日目、アーチャーは自分と同じような赤い服を纏った女性に、刃を突きつけられていた。





Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 第3話





色々と事情を説明した後、悠陽と鎧衣・紅蓮の三人とアーチャーは今後のことを話し合った。

問題になったのがアーチャーの身分について。

身分不詳のまま悠陽の側にいると色々と面倒なことになると言うわけだ。

最初は紅蓮と悠陽が、とりあえずアーチャーを斯衛軍に入隊させて、階級は大尉で悠陽のお側就きに捏造しようと案を出した。

しかし、この案には鎧衣が難癖をつけた。いわく、突然殿下に誰も知らない男がお側就きになるのは怪しいのではないかと。

この鎧衣の発言にはアーチャーも同意し、階級があると色々と制限がつけられるから必要ないと悠陽に言った。

その結果、悠陽の側にいるときはなるべく霊体化でいる事。

どうしても霊体化でいることが出来ない状況の場合は、鎧衣の部下と言う事になり、万が一のために悠陽から許可証を渡された。

許可証はこの者には最大限の便宜を図ることと言う物だ。

もちろんこんな許可証は普通なら怪しさ大爆発だ。だが、その下に帝国情報省外務二課 課長 鎧衣左近と入れれば大丈夫なのだそうだ。

木の葉を隠すには森の中。怪しい奴を隠すには怪しい奴の下にということだ。


「なるほど、鎧衣は怪しい人物と言う事で周囲には認知されていると言うことか……そして私はその怪しい奴の部下と言うわけか」


「なんでだろうねぇ。こんなにも一生懸命に働いている人間が怪しまれるなんて」


「ふん、貴様はどこで何をしてるか分かったもんじゃないからな」


「鎧衣は世界中を飛び回っていますからね。仕方がありません。
 でも、これでアーチャーさんが怪しまれたとしても、言い訳が出来ますね」


こうしてアーチャーの身分は一応決まった。書類上の名前はさすがにアーチャーと言うわけにはいかないので『藤村切嗣』という事にしておく。


「藤村切嗣ですか…お知り合いのお名前ですか?」


「遠い記憶の人たちの名前を借りた。まぁ問題ないだろう。おそらくこの世界には同姓同名はいないだろうからな」


「じゃあこの名前で私の部下と言う事で登録しておくよ。何かあったら此処に連絡すればいい。2割の確立で私が捕まる」


そう言うと鎧衣は立ち上がり、帰り支度を始めた。


「では、鎧衣。後のことは頼みました。くれぐれも彼のことが外部に流れないようにしてください」


「心得ています殿下。それでは仕事がありますので私はこれで」


「待て鎧衣」


立ち去ろうとする鎧衣にアーチャーが声をかけた。


「ん?なんだいアーチャー君」


「色々世話になるからな。これはほんのお礼だ」


そう言うとアーチャーは鎧衣の帽子を手に取った。黒鍵によって穴を空けられたあの帽子だ。


「――――投影、開始」

アーチャーが穴の上に手をかざし、なでるように手を動かすと綺麗に穴が塞がっていた。


「ほぉ、魔術と言うのはこんなことも出来るのか」


鎧衣は驚きの声を上げた。アーチャーによって空けられた帽子の穴が一瞬にして復元したのだから。


「ふん、大事なものなのだろう」


「ありがたく受け取っておくよ。それでは殿下、またいつか」


そう言うと今度こそ鎧衣は執務室から出て行った。

パタンと扉が閉まるのを確認してからアーチャーは悠陽の方に向き直った。


「……悠陽。口が開きっぱなしだぞ。紅蓮お前もだ」


ポカーンとした表情で悠陽と紅蓮がこちらを見ていた。


「ああ、すみません。……その、魔術と言うのはあんな事も出来るんですね」


「まぁな。基本的な魔術のひとつだ」


「あれで基本的などと言うのか。まったく魔術というのは面妖なもんだな」


「と言っても、今の私があれくらいの魔術を使用しただけ、結構魔力を使ってしまうのだがな」


「そうなのですか?ずいぶんあっさりと治してたように見えましたけど」


「聖杯の加護があれば服を一から作ることも出来るぞ。少々負担がかかるがな」


「はぁ、改めて魔術の凄さが分かりました」


「そうか分かったのなら、そろそろ君は休みたまえ。ただでさえ私を召喚したばかりなのだ。少々寝たぐらいでは疲れは取れんぞ。
 今日はもう休んだほうがいい」


「ですがまだ政務が……」


「殿下、あとの事は私にお任せください。お顔色がすぐれないようですし、もしものことがあれば大変です。今日は休んでください」


そう言うと紅蓮は侍女を呼び出し、殿下を休ませるように言った。

悠陽は大丈夫だと言ったが流石に召喚してすぐに体の調子が良くなるわけがない。

たしかによく見れば顔色があまりよくない。

だから、ここは無理にでも休ませたほうがいいのだ。


「それでは今日は休ませていただきます。アーチャーさんすみません。
 紅蓮も怪我しているのにすみません」

「いえ、私のことはお気になさらず。それではごゆるりとお休みください」


悠陽が侍女と一緒に執務室から出て行った。

それを確認して、紅蓮がアーチャーに切り出した。


「それで貴様は今からどうする?私はいまから雑務をこなさなければいけない」


「そうだな。少々その辺を見て回ろう。戦場での基本は地形を把握することだからな。
 それに、ある程度ここにいる者たちに顔を覚えさせておかなければ、いざと言うときに動きづらいからな」


「わかった。案内の者をつけよう。一人でその辺をうろうろさせると流石に怪しいからな」


「そうだな」


「しばし待て」


そう言うと紅蓮は机の上の電話をとると何処かにかけた。

しばらくするとこんこんと執務室のドアが叩かれた。


「入れ」


ドアから入ってきたのは赤い服を纏った20代くらいの女性だった。


「失礼します! 月詠真那少尉参りました」


「ご苦労。休め」


「はっ」


びしっと背筋を伸ばし、足を少し開いて後ろで腕を組んで月詠真那と名乗った女は姿勢を整える。

切れ長の目に、スラリとした女性としては長身な体型。そして艶やかな長い髪が似合う赤い服。

雰囲気は何処となく優しい雌ヒョウと言ったところだろうか。

そんな感じの女性だ。



「月詠少尉、仕事中すまんがこの者を殿を案内してやってくれ。大体の場所教えてやればいい。それとこの者は殿下の客人だくれぐれも粗相のないように」


「はっ!ではこちらへどうぞ……あの、お名前は」


「アーチャーだ。よろしく頼む月詠少尉」


「アーチャー? あ、いえ失礼しました!ではこちらへ」


そう言うとドアを開け執務室からでる。彼女に続きアーチャーも部屋から出ようとすると、後ろから紅蓮に声をかけられた。


「アーチャー殿。彼女は私の愛弟子だからあまり意地が悪いことをするなよ」


「なんだそれは。私がいつ意地が悪いことをした」


「貴様の喋り方は意地が悪いのだ」


「ふん、私は事実を言っているのだ。それに私は女性にはやさしい紳士なのでな。そんなことはしないさ」


「どうだかな、ほら行け。待ってるぞ」


そう言うと紅蓮はシッシッと手を振り執務室からアーチャーを追い出す。

そのぞんざいな扱いにムッとしながら、アーチャーは部屋から出て月詠の前に立った。


「では、改めてよろしく頼む。あー、月詠少尉と呼んだほうがいいのか?」


「それで構いません。では私についてきて下さい。アーチャー殿」


「あー、そんな硬くならなくていい。私のことは普通にアーチャーと呼べばいいし、言葉も丁寧じゃなくていい」


「しかし、殿下の客人にそのような扱いは……」


「べつにかまわんさ。客人と言ってもたいした者ではない」


「そうですか…あの、差し支えなければどこから来たのか教えていただけないでしょうか?」


「私は情報省から来た。帝国情報省外務二課 鎧衣左近の部下だ」


予定しておいた設定をアーチャーは月詠に話した。つまり自分は鎧衣の部下で情報のやり取りのために今日こちらに来たということを。


「あの鎧衣左近の部下だと。そうか、明星作戦のため……」


鎧衣の部下と言うことを話すと突然、月詠の態度が豹変した。

目を細め、懐に手をやりながら睨みつける。

ピリピリと周囲の空気が震えるのをアーチャーは肌に感じた。


「貴様の所属を言ってみろ。階級は?情報省の何処に勤務している?仕事の内容は?」


「……別にかしこまらなくていいと言ったのは私だが、流石にそのような尋問行為には目をつぶれんぞ」


「だまれ!貴様がパイプになって米国に情報を流すのだろう!殿下を騙して何を企む」


何故だかエキサイトする月詠を横目に見ながら、アーチャーは鎧衣がどういう人物なのか分かったような気がして、ため息をついた。

いろいろ海外を飛び回っていると悠陽が言っていたのだから、各国に独自の情報網を引いているか、極秘の交渉係という所だろう。

普段から勘が鋭いところに巧みな話術。それに恐らくわざとだろうが、妙な言動に行動。

改めて鎧衣が、周囲からどう思われているかというのがわかった気がするアーチャーだった。


「所属は言えん。大体私は悠陽の客人と言うことなのだがな。そのような事を言われる筋合いはない」


「悠陽? 貴様はやはり米国のものか。殿下のことを名で呼ぶなど恐れ多い。日本人なら誰でもそうだ!」


そう言うと懐から短刀を出すとアーチャーの首筋に刃を添える。

まるで一歩でも動けば殺すと言った表情で。


「興奮しているところ悪いが、殺気丸出しで私に刃を向けないでくれ。これでも戦場暮らしが長くてな。あまり良い気分ではない。
 それに君は私や鎧衣がスパイだと思っているようだが、それは何か証拠があってのことか?」


「そ、それはそうだが……だが、明星作戦の間際に鎧衣の部下がここに居るのは怪しい。
 鎧衣はスパイ疑惑をかけられている男だ。その部下がこんな時期に来るなど米国からのスパイとしか思えん」


「明星作戦とやらはなんだ。私は情報省に入ったばかりで、情報をそこまで知っているわけではないんだよ」


「明星作戦を知らない? そんな馬鹿なことがあるか。帝国衛士の中で知らないものはいないぞ」


「そうなのか。だが、先ほども言ったと思うが私は戦場に長くいたもんでね。早々は情報が入ってこなかった。この国に来たのもごく最近だ。
 だからその明星作戦とやらは知らない。よければ逆に教えてもらいたいのだが」


「……貴様、本当に日本人なのか?その格好にその髪。肌の色も目の色も日本人には見えんのだが……」


「生粋の日本人だ。日本語に訛りはないだろう。肌の色とかは戦場暮らしをしているうちにこうなった。
 いろいろな戦場を渡り歩いていれば、こうなっても仕方がない」


アーチャーが月詠に話したことは半分嘘で半分本当の事だ。

肌の色に髪の色・目の色。これらはすべて魔術の使いすぎによる副作用だ。

そしてその魔術を最も使ったのが戦場だった。

それこそ生前はあらゆる戦場を渡り歩いた。そこが地獄と知っていても、自分からそこへ向かって行ったのだ。

空からは爆弾が降り注ぎ、地上は銃弾と地雷。誰かの叫び声に血の匂い。絶え間なく音が響き、何かが焼ける匂いが漂う。

一瞬の判断が間違えれば死んでしまう世界。

そんなところを渡り歩けば、魔術を使わなくとも人は変わってしまう。

性格から姿かたちまで。

だからアーチャーは昔の自分を捨てたのだ。残したのはたった一つの理想だけ。

その理想を胸に、冷静に冷徹にすべての人を救うために戦い続けた。

そして最後は……


「すみません、アーチャー殿。嫌なことを思い出させてしまったようだ」


「む、何を謝っているのだ?」


「……その、どこか苦しそうな顔をしていたので、私が嫌なことを思い出させてしまったかと思って……」


先ほどと違い、急に大人しくなる月詠少尉に


「ふふふふ、君は優しい娘だな。だが大丈夫だ。何処までもまっすぐな男のお陰で答えは得られたからな。
 今の私に後悔はない。君が気にする必要はないさ。
 ……それより私はスパイだったのではないのかな月詠少尉?」


ぐりぐりと月詠の頭を撫でながら、アーチャーはからかう様に月詠に言った。


「撫でるな!私を子ども扱いするな。歳はあまり変わらないではないか!
 私は、べ、べつにあなたがスパイとは言っていない。鎧衣がスパイだから、その、あなたが……」


素に戻ってあたふたするする月詠に、アーチャーは笑いながら言った。


「くっくくく。まぁ、鎧衣は変人だからな。スパイの疑いをかけられても仕方がない。
 だが、本質は先を読む勘が鋭い男だ。この国の未来を考えて行動しているさ。
 少なくともあの男は悠陽を裏切るということはしないだろう。
 私はそう思っている」


「そうですか……」


アーチャーの話を聞いた月詠は顔を下に向け、少し黙ると勢いよく顔を上げ、こちらに向かって今度は勢いよく頭を下げた。


「あなたの事をスパイなどと疑ってしまい、大変申し訳ありませんでした。
 この事についてはいかなる罰も受けます。
 本当に申し訳ありませんでした」


周囲に響くほどの腹の底から出した大声で謝りだした。

それを見ながらアーチャーはまっすぐな娘だな改めて思った。


「気にしなくていい。勘違いされても仕方がない。疑いが晴れたならそれでいいさ」


「ですが……」


「それよりそろそろ案内を頼む。早くしないと日が暮れるぞ」


「あ、申し訳ない。では、私の後についてきて下さい」


そう言うとあたふたと月詠は歩き出した。

その後姿を見ながら、アーチャーはふと思ったことを言った。


「そうそう月詠少尉」


「はい、何でしょうか?」


「こう見えても私は30後半だ。見たところ君はまだ20代だろ。歳はあまり近くないぞ」


「えっ!」


「……どうしてそこで赤くなる」


顔を赤くする月詠真那2○歳。帝国衛士の中でも成長著しい期待の戦術機パイロット。
好みは自分より年上の頼れる男性だった。



前へ     次へ




あとがきと言う名の反省

は~い月詠さん出しました。
性格が丸いのは、まだ青いと言う事でご了承ください。
外伝か番外編で月詠さんが堅物になっていく所が描けるといいなぁと思っています。

本編はまだ明星作戦前なので、小尉の月詠さんです。
本当は中尉にしておこうかなと思ったのですが、やはり二年後までに中尉と言う感じにします。
月詠さんはエリートですからね。このぐらいでOKかなと思っています。
ちなみに設定に詰まっていたのは、月詠さんの年齢です。
24か28という設定はどこかで見たような気がするのですが、とりあえず○で誤魔化しておきます。
アーチャーの年齢は、聖杯戦争ではピーク時の姿で召喚されるので、年齢設定では30後半でもOKかなと思っています。
おじ様アーチャー……渋いぜ!


そういえば月詠さんはショタ設定だったような……orz

なんか今回の内容は薄かったな……反省orz



というわけで第3話終了!
次回こそはいよいよ明星作戦!
プロット・執筆時間・情報収集によりますが、前編・中編・後編の構成になる予定。
楽しみしてお待ちください。

スポンサーサイト
[ 2013年10月16日 15:06 ] カテゴリ:Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

プロフィール

地球外生命体タモちゃん

Author:地球外生命体タモちゃん
惑星タモタモから来た調査員

趣味 読書、昼寝、料理
好食 梅干おにぎり
嫌食 刺身(生もの全般)

マッタリ、モッタリ生きていますので(^ー^)ノ ヨロシク  

質問などは此方へご連絡を       

フリーエリア

FC2カウンター
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。