世界の果ての赤き丘

二次小説、日々の地球人観察記などを書いています。
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Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 短編03

初恋と戦う決意


ある日のPX。

珍しく基地内にアーチャーがいたので、武が昼食に誘うと、その噂を聞きつけた部隊のメンバーと3人の女性の大所帯がガヤガヤと喋っていた。

他愛もない話で盛り上がっている時にふと、不意に武がポツリと洩らす。


「ところでさぁ、アーチャーさんって今まで付き合ったりした人はいないのか?」


「は?」


「「「!!!!!!!」」」


空気が凍った。

瞬時に部屋の空気が重くなり、昼食をとっていた整備員や隊員達が身の危険を感じ1人また1人とPXから出て行く。

いつの間にか入り口に兵が立ち、隊員達を誘導した後、立ち入り禁止のポールを設置した。

おばちゃんは洗物しないとね~と珍しく厨房の奥へと引っ込んだ。

そんな雰囲気に気づかない武が更に続ける。


「いや、アーチャーさんは付き合った人はいないの?って聞いただけなんですけど……え~と、夕子先生?まりもちゃん?」


「な、なにかしら白銀!私は正常よ。べ、べつに……知りたいとか思ってな……くもない」


「あひゃ!わひゃひは、その、えっと……」


爪をかじったり、髪の毛を弄るという不自然な行動をする夕子とまりもに武が声をかけると、なぜか慌てふためく2人。


「私も興味がある。アーチャー、聞かせてくれないか?」


「それはいいが、何故懐に手を入れているんだ……」


月詠は何故か懐に手を入れ、殺気を放出する。

そんな様子を、一目散に武を置いて逃げたA-01部隊と207隊のメンバーが入り口から顔をそっと出し覗いていた。


「武って結構バカなんだね」


「鎧衣、気づくのが遅いぞ。あやつはこういう事には疎すぎる……」


「アワワワ、なんか空気が重いですぅ」


「なんて威力の爆弾を放るの……」


口々に言う207隊のメンバー達。

その後ろではA-01部隊のメンバー達が「強化服を着ろ!」だの「歩兵部隊の招集を!」と口々に言いながら右往左往していた。



****



「えーと、その答えづらかったら俺はね、その、すいません……」


「白銀武、貴様には前にも言ったな。思慮が欠けていると。先の事を考えろ。
 もっとも、もう遅いがな」


そう言いながら視線を移す。


「……」


「……」


「……」


視線の先には、美女3人がこちらを見ていた。

ニヤニヤした視線、オドオド、チラチラした視線、射殺さんばかりの眼力を込めた視線。


「はぁー……」


もはやため息しか出ない。

この状態では話さなかったら何をされるか分からない。

覚悟を決めるべきなのだろう。

だが、彼女の事は……


「そうだな、俺も男だ。確かに愛した女性がいた」


「いた?」


武の問い返しに頷く。

ゆっくりとアーチャーが語りだす。

あの自分の歯車がカチリとはまり、道を開かせたあの時を思い出しながら。




「18の頃に彼女と出会った。本当にあり得ない出会いだった。
 だが、俺にとっては最高の出会いだった。凛とした顔の彼女の声を仕草を今でも鮮明に思い出せるほどに」


「「「……」」」


いつの間にPXの空気が静になり、誰しもがアーチャーの声に耳を傾ける。


「一目惚れだったのかもしれない。
 その頃俺の身の回りで起こった事件を解決するために彼女が来たんだ。
 楽しい事も苦しい事も笑った事も悔しかった事も、彼女と一緒に体験しお互いを支えあった。
 本当に短い間を彼女と過ごした。……そして、全てが終わった時、彼女と永遠に別れた。
 彼女と別れない方法も無くは無かった。ただそれは多くの人苦しめる事になる。
 彼女もそれを望まなかった。いや、誇りを捨てたく無かった。
 だから、彼女は笑って俺を愛してるって言って、行ってしまったよ。
 ま、これが私の初恋って奴だ」


「それって…彼女は死、ムグッー!」


「バカ白銀!」


「何を聞いてる白銀!」


武が余計な事を言おうとしたので、夕子とまりもが飛びつき口を塞ぐ。

それに微かに口元を緩めアーチャーが答える。


「いや、彼女は死んでいない。彼女は帰っただけ。彼女の居場所へな。もっとも私がそこに行くことは到底出来ない事だった」


【シロウ、貴方を愛している】


「彼女が俺の答えを聞く前にな」


頭の奥にこびり付いた忘れられない、忘れてはならない彼女の言葉。

いつか、胸を張って彼女に答えようと思ってた。

だが、自分は道を踏み外し、世界の道具と成り果てた。


「アーチャーは…その……後悔しているのか?」


月詠が恐る恐るといった感じで尋ねる。


「後悔しているのかもしれないし、後悔していないのかもしれない。
 彼女の誇りを傷つけた俺にはもう言えないと思っていたから。
 だが、今まで俺がやってきた事が間違いじゃないと言ってくれた馬鹿な男がいた。
 その男のすべてが俺の答えなんだろう。
 だから自分の中での折り合いが取れたら、後悔してないって胸を張って言える」


「そうか……」


なんとも言えない顔で黙り込む月詠達。

好意を寄せていた男の過去を知って、初めてこの人を好きになって良かったと思うと同時に、大きな壁が立ちはだかっているのだ。

諦める気は更々ないが、この壁を乗り越えるのは並大抵の努力では無理だろう。


「壁は高し……か」


「そうね……」


「そのような壁、越えて見せて真の者だ。私は諦める気は無い」


バチッ


空間に紫電が走った。


「あら月詠中尉、誰も諦めるなんて言ってないわよ」


「そ、そうよ。私だって越えてやるわよ!」


椅子を蹴倒して立ち上がる夕子とまりも。

それを月詠は鼻で笑い言った。


「フフン、少しでも及び腰になった者は戦場では生きて行けん。大人しく引き下がったらどうだ?」


「言うわね月詠中尉……」


一瞬にして最初のように重たい空気が室内に満ちる。

身を乗り出して話を聞いていた者たちは、すぐさま身を翻し、入り口からそっと顔を覗かせる。



そんな喧騒の中、アーチャーは聞いて置かなければ行けない事を武に尋ねる。


「……白銀武、お前は大切な人がいるか?守りたい人は?愛してる人は?」


真剣に語りかけてくるアーチャーに武は一瞬息を呑むがはっきりと答える。


「……います。守りたい人も大切な人達も。愛してるとかはまだ分かりません。
 でも、守りたい。守れなかったあの時と違って今はちっぽけだけど力があるから。
 だから俺はこの世界を守りたい」


「フン、世界ときたか。お前が守りたい世界は彼女達と進む世界かな?」


視線の先にはこちらを窺う207隊のメンバー達。


「そうです。今度こそ守りたいから」


握られた拳にこちらを見つめる確固たる意思を秘めた瞳。

その奥の炎は本物だ。

だからアーチャーは助言する。


「意思はあるか……
 自分で行動し、その手で掴みとって初めて理想が現実になる。
 思うのは簡単だ。ただ願うだけも簡単だ。
 掴み取りたければ走って戦って、血と泥にまみれながらも先に進め。そうすればお前は強くなれる」


「はい」


「どんな困難があっても、そこで立ち止まらなければ終わりじゃない」


そう、立ち止まった自分はあの時に終わって世界になってしまった。

間違っていなかったのに、膝を折り、手を地面につき、その体を止めてしまったのだ。

理想ははるか遠くなのに、その歩みを止めた俺が愚かだった。

何があっても立ち止まらなければ届いたかも知れないのに。

だから彼には……


「守りたいなら全力で生きろ」
 



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[ 2013年10月16日 15:17 ] カテゴリ:Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 | TB(0) | CM(0)

Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 短編02

「なぁアーチャー君」


「なんだ?」


「この縄は何かな?」


「ふ、貴様の胸に手を当ててよく考えてみれば分かるさ」


言われたとおりに鎧衣は自分の胸に手を当てて考えた。


「あぁ、私の胸よ。この縄は何なんだろうか、答えておくれ……ふむ、わからん。私が何をしたんだ?」


「ほぉ、貴様しらを切るきか?」


鎧衣のふざけた態度に、アーチャーは剣を投影して鎧衣の首筋に添えるという答えを返す。


恐怖心を煽るために少々の切り傷をつける事を忘れない。


「……すまない。正直こんな事態になるとは思ってなかった」


タラリと首筋から流れる血の感覚に、流石の鎧衣もアーチャーの本気を感じ取り、口を割る。


「まったく。貴様のその技能はそもそも他の事に使うためだろ。こんなくだらない事に使うなどどうかしてるぞ」


アーチャーと鎧衣の目の前に広がる光景。




エッチな本と嫉妬




鼻から血を流しながらその巨体を悶えさせている紅蓮を筆頭に、高位の男性衛士達も鼻血を出し失神していた。

騒ぎの中心には一冊の雑誌らしき本が…

そんな中、女性衛士達は月詠 真那を中心に血眼になって、雄叫びを上げ、走り回っていた。


「探せ!探せ!1冊残らず探せ!所持していた者はすべて縛り上げろ!抵抗するなら半殺しも構わん!火器の使用も許可する。場合にっては戦術機も使え!」


「「「「了解」」」」


次々と捕まる衛士。全員、青痣ができるぐらいに殴られている。

中には腫れあがり醜くなった顔を歪ませ男泣きする輩もいた。


「流石にこれは……鎧衣、一体何冊配布した?」


阿鼻叫喚な地獄絵図に、アーチャーの額からヒヤリと汗が伝う。爆発音が聞こえるのは気のせいだと思いたい。


「うむ、1冊五千円で100冊、レアを1冊一万で10冊で合計110冊だな。ちなみに裏取引だったが10分で完売した」


自信満々に答える鎧衣。どこか誇らしげに胸をそらしているのは気のせいだろうか……


そんな二人のやり取りの間にも広間には続々と衛士たちが連れてこられていく。


「よし、これで全部か!」


「はい、情報どおり110冊すべて揃ってます」


月詠の目の前に積み上げられた雑誌らしき本。


表紙には「帝国斯衛軍 大胆写真集!」と書かれてある。もう一冊、他の物と違い豪華な装飾してあるのにはこう書いてあった。


「帝国斯衛軍 読者が選ぶベスト10 袋とじにはお風呂シーン付」


表紙の写真は盗撮とは思えないほど鮮明なシャワーを浴びている月詠真那の後姿である。


そしてそのどちらにも監修 鎧衣左近 と表記してあった。


「さて、鎧衣。覚悟は出来ているか?」


足跡を立てず床を滑るように近づいてくる月詠。

その姿はまさに修羅。

武人の呼吸にかわり、僅かに揺れる体。溢れ出る殺気は本物だった。


「月詠中尉、落ち着きなさい。私はだね、潤いが足りない男性衛士諸君に一筋の光をだな……」


その姿に内心ビビリながら、表では冷静を装って言い訳を唱える鎧衣。


「黙れ…八つ裂きにして殺すぞ」


地の底からの怨嗟が篭った低い声が月詠の口から漏れる


「……」


その声にシーンと静まりかえる大広間。

痛てー、くそーと呻いていた男性衛士達は死んだように動かなくなった。自分に矛先が向かないようにするためだ。

というより何か音を立てれば殺されそうなぐらいな雰囲気だったからとも言える。


「うっほん、あー月詠」


その凍りついた場を壊すように、アーチャーは咳払いをして月詠の説得を試みる。


「……なんでしょうか?」


ギリギリと首を捻じ曲げ、アーチャーへ視線を移す。

その顔は普段の端麗な面持ちからかけ離れて、真っ赤な顔に憤怒の表情だ。


「す、少し落ち着け。こいつは私が責任を持って処分をするから。なんならBETAの群れの中に放置してやってもかまわんし、戦術機の射撃演習場に放置してもかまわん」


「それは酷すぎじゃないかねアーチャー君」


ちょっと震える声で鎧衣が呟く。

それを無視してアーチャーは鎧衣を縛っているロープを握ると、さらに締め付けながら月詠の説得を試みる。


「まぁ、こいつがしたことは許されざる事だが、一応こんな奴でも使えるから、殺すのは後にしてくれないか?」


「アーチャー殿、この事には口を挟まないでいただきたい。これは帝国斯衛軍の問題です」


即答で切り返す月詠。聞く耳を持たないと言うのはまさにこの状態なのだろう。


「しかし、このままでは明日の演習に響くぞ。衛士たる者、万全の体制整えるべきなのだろう?」


「分かりました。では……」


「今殺します」


月詠は袖から隠し持っていた暗器を取り出すと、一直線に鎧衣に向かって閃光のごとく走る。

迫る月詠に鎧衣があわてて叫んだ。


「ちょ、ちょっと待った!交換条件だ」


と、首筋まであと1cmの所で刃が止まる。


「くだらない事を言ったら殺します。くだらない事を言わなくても殺します」


「ふっ、甘いな真耶ちゃんは。私が何の対策もしてないと思うのかい?」


ユラユラ揺れる刃先から首筋をそーと離しながらニヤリと鎧が笑う。


「何っ!?」


「これを見よ!」


そういうといつの間にか硬く縛られていたロープから鎧衣は抜け出し、帽子を抑えつつ空中で華麗に一回転。

無駄に身体能力が高いところを見せ付けつつ、大仰に一枚の写真を懐から取り出し頭上にババーン掲げた。


「そ、それは!」


「き、貴様!」


そこに写っていたのは月明かりの下、硬く抱き合う月詠とアーチャーの姿だった。

これも盗撮とは思えない鮮明さで、プロが撮ったと言えば納得できるほどの見事な写真だ。


「おい、あれって…」


「まさか…」


「アーチャーの野郎…殺す!」


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね…アーチャーは死ねぇぇぇぇぇ!」


「月詠様…」


「不潔です」


その場にいた全員がざわざわと騒ぎ出した。抱き合う男女から想像できる物はたった一つ。頭によぎるのは『恋人』の二文字。

突然の出来事に、衛士達は驚いてしまい頭の中からは、盗撮の件は頭の隅に追いやってしまう。

当の本人達である月詠は顔を真っ赤にしてあぅあぅ言いながら俯き、普段は冷静なアーチャーもこの時ばかりは固まってしまった。


「では、私はこれで」


固まった二人を尻目にそう言うと鎧衣左近は気配を消しながら逃走。腐っても情報部エース。仕事は完璧。

すべては計画通りという事だ。

その後、帝国斯衛軍内に月詠とアーチャーは恋人という噂が蔓延していった。



次の日


「アーチャー、弁明はありますか」


悠陽の右手には例の写真。左手には太刀が握られ、極上の笑顔と背後にはわけの分からないオーラ。


「落ち着け悠陽!誤解だそれは!鎧衣の策謀だ!」


「そうです殿下。落ち着いてください!ま、まずはその刀を此方にお渡してください!」


「まぁ、仲良く弁明ですか? ウフッ、フフフフフフフ……」


翌日の悠陽の執務室から聞こえてきた争う声に、侍従長はまた頭を痛めていた。
     


[ 2013年10月16日 15:16 ] カテゴリ:Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 | TB(0) | CM(0)

Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 短編01

とある午後の昼下がり、悠揚はキョロキョロと辺りを見回しながら廊下を歩いていた。

そこへ、反対側から紅蓮がやって来た。

「どうしました殿下? 誰かをお探しですかな?」

「ああ、紅蓮。アーチャーさんを知りませんか」

「アーチャー殿ですか。先ほど衛士達の食堂で見かけましたが……」

「まぁ、そうですか」

「え、あ、殿下!ちょっとお待ちください!今食堂に行ってはなりません!殿下ー!」

時既に遅し。


近衛衛士共同食堂

「……な、何なのでしょうか。この状況は」

「おふくろ―!おふくろ―!おふくろの味じゃ―!」

衛士たちがいつもの赤いコート脱いでラフな格好で、何故か前掛けを付けているアーチャーを取り囲んで号泣している。
当のアーチャーはうんざりとした顔で立っていた。

悠揚は側にいた衛士に尋ねた。

「これは一体どうしたのですか?」

「で、殿下。これは申し訳ありません。そ、それが……」

「?」

「その、これを食べてみてください」

「はぁ」

悠揚は衛士に差し出された器を覗き込んだ。

「肉じゃがですか…」

少々行儀が悪いが悠揚は指で肉じゃがつまんで口に入れた。

「お、悠揚。いいところに来たな。この者達を解散させてくれ。まったく持って邪魔だ」

悠揚に気づいたアーチャーはこの馬鹿騒ぎを止めてくれるように頼む。

「……」

「悠揚?」

「お、お母様……」

「君もか――――――――!!」

[ 2013年10月16日 15:15 ] カテゴリ:Muv-Luv/錬鉄の近衛騎士 | TB(0) | CM(0)
プロフィール

地球外生命体タモちゃん

Author:地球外生命体タモちゃん
惑星タモタモから来た調査員

趣味 読書、昼寝、料理
好食 梅干おにぎり
嫌食 刺身(生もの全般)

マッタリ、モッタリ生きていますので(^ー^)ノ ヨロシク  

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